オープンガーデンいわき

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オープンガーデンいわき:オープンガーデンツアー記録

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  オープンガーデン新潟訪問     2007年5月3日〜4日実施

 2007年度のオープンガーデンツアーとして、以前よりホームページ等で気になっていたオープンガーデン新潟さんのお庭を訪問する企画が持ち上がりました。磐越自動車道が開通して以来、いわき〜新潟という国道49号線の端と端の距離は一気に近くなりましたが、日帰りではとても無理なので1泊2日での行程に。5月3〜4日のゴールデンウィークを利用してのツアーとなりました。

「甚左衛門」の庭
  いわきを出発して約5時間。オープンガーデン新潟の代表、小倉さんと合流して最初にお伺いしたのが「甚左衛門」さんの庭。庭の名称は実際に現地で使われている屋号に由来しています。こちらでは名字ではなく、屋号で呼び合うことが多いそうです。入り口から一面の杉苔に覆われた苔庭です。庭内には大小数々の石が配置され、飛び石を伝って庭内を巡ることができます。数ある巨石・銘石がひしめく中、写真は四国から運ばれたというさざれ石。君が代の歌詞通り、苔むした感じが実に素敵です。

「久兵衛」の庭
  続いて案内されたのが、オープンガーデン新潟の代表を務める「久兵衛」さんのお庭。今が旬のユキツバキに出迎えられて庭内に入ると、敷地内の外周各所にそびえるブナの数々が心地よい木陰を作っています。ここまで育てるのに費やした年月は20数余年。足元は一面見事な杉苔で覆われていました。現在、大賀蓮の増殖に励んでいる久兵衛さん。夏には庭内のあちこちで美しい花を見ることができるでしょう。齢80を超えてこの熱意。久兵衛さんの人生の集大成とも言えるこの庭で、熱心に説明を受けたことで、ものすごいパワーを受け取った気がします。本当にどうもありがとうございました。

「隠居」の庭
  久兵衛さんのお宅で絶品の魚沼産コシヒカリによるお昼をご馳走になった後、ご案内いただいたのが「隠居」さんの庭。道路から家に向かう登り口には、一年中13℃の温度を保つ湧き水の泉があり、それを護るように大きなモミジの木が枝葉を広げていました。庭の中心には見事なミズキの株立ちが根を張り、タチハイゴケの絨毯で覆われている風景は、神秘的でもあり、見ているとすがすがしい気持ちになります。大きく育ったミズキの木は植えてからまだ15年ほどとのこと。成長の早さにも驚きを隠せません。坂を上った家の前には池があり、その周囲の様子もまた見事。次々と移り変わる風景を楽しめる素敵なお庭です。余談ですが、甚左衛門さんのところでもそうでしたが、家の表札に、しっかり「隠居」と掲げられているのが印象的でした。

「大前」の庭
  次に訪れたのは大前さんの庭。ケヤキの巨木に見守られた巨石たちや錦鯉が泳ぐ池も立派ですが、敷地の奥にある山野草の花壇がなんともすごいです。花壇だけにとどまらず、庭のあちこちに顔を出した山野草が清楚な春の雰囲気を醸し出していました。さらに奥に進むと雪をかぶった八海山が出現。たくさん撮った写真の中から八海山をバックに、大量に咲いていたオキナグサをチョイスしてみました。庭主のご夫婦がたいへん丁寧に説明していただいたのも嬉しかったです。

「五兵衛」の庭
  次も山野草コレクションが続きます。ご案内いただいた五兵衛さんの庭では、奥さんが丹念に育てている山野草の鉢々が出迎えてくれました。コレクションの数は200品種を超えるとのこと。見事な石組みによる池もありますが、ちょうど池掃除のため水を抜いてありました。思い返すとどのお庭にも池がありましたが、新潟名産の錦鯉が関係するのでしょうか。石と池の庭文化という印象が強まってきました。

「関寓房」
  続いてお伺いしたのは関寓房。個人のお庭ですが、そのクオリティはものすごいものがありました。入り口からどどんと巨大な佐渡の赤石が迎え、頭上には見事な祇園桜が花のシャワーを降らしていました。中に進むと、どうやって運んだのか不思議に思う程の巨石から湧き出る滝があり、流れの先には色とりどりの錦鯉が優雅に泳ぐ池。庭を巡ると数々の巨石・銘石が次々と迎え、奥には竹林まで。庭をあちこち歩いていて思いましたが、どのアングルから見ても隙がない。とても完成された素晴らしい庭だと思いました。庭主さんもオープンガーデンの心にあふれ、観るだけでなく、人とのふれあいに幸せを感じるお庭でした。




「永昌庵」

  日は西に傾いてきましたが、7軒目にご案内いただいたのは永昌庵さん。お寺さんです。本堂に向かって右側が一面の苔庭、左側が芝庭になっています。広い苔庭の存在感に圧倒されますが、本堂裏の山には滝があり、その景色もなかなか見事です。




「関興寺」
  最後にご案内いただいたのは少し離れた場所にある関興寺さん。山門には「味噌なめたか」と書かれた大きな看板があり、何のことかと思っていましたら、禅寺である同寺はかつて厳しい修行の場。自家製の味噌だけが唯一のごちそうとして許されたことから、「関興寺で修行してきたのか」と尋ねる代わりに、「味噌なめたか」と問われるようになった・・・など、いろいろありがたいお話を賜りました。その味噌を500円で販売してたりして思わず即買いです。庭は枯山水。さび砂利と巨石によって構成された庭は、お釈迦様がお亡くなりになった時の様子を表しているそうです。


「いろりあん」
  宿泊したのは六日町の「いろりあん」さん。露天もある温泉につかり、旬の山菜料理をいただいて、ブログの原稿書きをしていたら眠りこけてしまったという展開でしたが、昨日大変お世話になった久兵衛さんが今朝旅館においでになり、おみやげとしてハスの種を人数分いただきました。発芽方法から育て方まで丁寧にお教えいただきましたので、是非花開かせてみたいと思います。その様子も今後当ブログで紹介していきます。お楽しみに。

「雪国植物園」
  2日目の行程として、長岡市にある越後丘陵公園に向かったのですが、連休のため来園者も増大しており、ものすごい混雑です。大渋滞でとてもたどり着けそうにないので、急遽行き先を変更して同じく長岡市にある「雪国植物園」に向かいました。植物園とありますが、里山の自然を残そうというボランティア運動から始まった自然公園です。園内の遊歩道は木陰がさわやかで、道沿いに点々と花を付ける山野草たちとの出会いが実に嬉しく、結果的にはこっちに来て良かったです。いわき市内にも里山再生による自然公園の計画があるのですが、なんか頓挫してしまっているらしく残念です。是非参考にしてもらいたいと思いました。

「小さな森」
  ツアー最後の行き先は、新潟市内にある園芸店「小さな森」さん。特にイングリッシュローズを多く取り扱っており、バラ好きの面々にはたまらないショッピングとなりました。写真は店の前に置いてあるイングリッシュローズの苗。他の場所にもありますのでこれで半分くらいでしょうか。すごい品数です。当会の会長も「ずっと探し求めていた品種をついに見つけました」と大喜び。バラ以外の植物もたくさんあって、ちょっとした掘り出し物も。店長さんをはじめとした店員さんが一生懸命品種探しを手伝ってくれたのが印象的でした。バラが好きで好きでたまらないという方は新潟においでの際はぜひお立ち寄りください。


  日本を横断する旅になりましたが、雪のほとんど降らないいわきとは全く違う気候と文化に驚かされたツアーでした。久兵衛さんにご案内していただいた魚沼地方は、多い年は積雪が4メートルにもなるそうで、庭木を保護するための雪囲いが必要だったり、除雪のため生け垣などの垣根が無く、家も高床式の構造だったりと、見るもの全てが珍しいことばかり。今回のツアーで得た貴重な体験はとても多かったですが、何が素晴らしかったと言えば、久兵衛さんのご厚意に尽きると思います。熱意あふれるお話とお姿、そしてご案内いただいたお庭の数々は一生忘れることのない思い出になりました。本当にどうもありがとうございました。

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