オープンガーデンいわき

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オープンガーデンいわき:オープンガーデンツアー記録

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  市内の公開庭を巡るインデックスツアー     2006年9月29日実施

  毎年恒例だった秋のガーデンツアーを9月29日に開催しました。活動再開しての第1回目のツアーは、新規会員さんとの交流の意味合いも兼ねて、いわき市内を中心に1日で可能な限りの公開庭を巡ろうというコンセプトで実施。都合のついた公開庭は14軒。高速を使う遠方のお庭もありましたので、効率よく順路を選定し、1軒あたり15分程度の停留時間という、まさに“インデックス”ツアーです。
  小型の観光バスをチャーターして朝8時にスタート。朝のラッシュ時ではありますが、順調に進行して1軒目の橋本さんのお庭に到着しました。

〜見事にゾーニングされた庭〜
 「Welcome My Garden」と描かれた素敵なプレートがかかっている入り口から藤棚をくぐった先に広がる一面の芝生。この陰から陽への変化がとてもドラマチックでした。 変化はそこだけでなく、洋室の窓から望む芝生と花壇主体のエリアと、和室から眺める和のエリアにゾーニングされ、全体を通してのコントラストが実に気持ちいいです。写真選択に悩みましたが、あえて和をチョイス。洋庭に比べて面積こそ少ないものの、奥行きを感じさせる飛び石と苔の見事な調和がとても素敵でした。思い返してみると芝は西洋芝だったのでしょうか?とてもふかふかで気持ち良かったのが印象的でした。5月頃は藤棚も素敵なことでしょう。四季を通じてまたお邪魔したくなるお庭でした。

〜時の流れが作った素敵空間〜
  次は旧民家の集落として知られる地区にお住まいの鈴木さん。 敷地内に入って感じる重厚感は決して一朝一夕に出来るものではなく、建造物や木々から時間の“層”のようなものを感じさせます。今回は奥まで拝見することができませんでしたが、お屋敷の周囲を巡り、街としての雰囲気も味わうことが出来ました。 両手で抱えきれないほどの巨木が庭に複数鎮座しているのも、重厚さに一役買っているのでしょう。またあらためてお伺いしたいと思います。




〜花とアイディア満載の庭〜
  一行を乗せたバスは新興住宅地へ。田口さんのお庭に着いて真っ先に感じたのは外に向けて手を広げているような開放感。庭が「どうぞいらっしゃいと」手招きしているような感覚でして、通りがかりの人は思わず足を止めるのではないでしょうか。まさに“オープンガーデン”と呼ぶにふさわしいと感じました。 住宅街では限られた面積を駐車スペースに取られてしまってお悩みの方も多いでしょうが、このお庭ではガーデンそのものを駐車スペースに転用させるさまざまなアイディアが盛り込まれています。 前の道路から家までの広いスロープには枕木がふんだんに使われ、その隙間にはこぼれ種が芽を吹かせ、四季折々の花を咲かせます。草花が生い茂るところを短く刈り込むと現れる駐車スペースなど、言葉では語り尽くせません。 たくさんの草花に囲まれる中、来場者との話が盛り上がり、写真のように庭主さんが種や苗を振る舞う場面も。これもオープンガーデンの醍醐味のひとつですね。

〜目指しているのは雑木林〜
  4軒目は拙宅。説明にいっぱいいっぱいで写真撮るの忘れてましたので後日撮った写真です。思いつきで行動してしまうため、いつも行き当たりばったりの造園計画ですが(無計画とも言います)、芝生と雑木の庭がコンセプト。まだまだ発展途上でこの先どうなっていくのか皆目見当がつきませんが、緑ばかりで花が少ないと家人からクレームを付けられています。

〜オーナーが描く夢の世界〜
  引き続いて中村さんのお庭。色とりどりの花が盛られたコンテナと花壇が出迎える中、まず目につくのが奥にあるガラス張りのコンサバトリー(ガーデンルーム)。ルームの中で花々を愛でながらゆっくりとお茶を楽しむ様子を想像するだけで楽しそうです。レンガで作られた花壇には「1年中花があるように」と、庭主さんが熱心に定植した花たちが色鮮やかに咲き誇っています。春には数十種類のチューリップをはじめ、ミモザやハナミズキといった花木たちも彩りを添え、とても楽しい庭になっていることでしょう。わくわくします。

〜苔庭の持つ存在感〜
  次は純和風の苔庭が見事な泉さんのお庭。その素晴らしさには思わず感嘆の声を発してしまいます。メインはなんと言っても一面の苔庭。なんという風情でしょう。数種類の苔を置いておくと、土地に合った苔がいつの間にか育ってゆくとのこと。同じ緑でも芝庭とは全く違った深い風合いが見る者の心を打ちます。苔の合間には小さなリンドウが顔を出し、蕾をふくらませ始めています。リンドウが咲く頃にはまた一段と素敵な表情を見せることでしょう。家を周回するコースを歩くと珍しい植物が次々と。どれも繊細で味があり、1年を通して庭変遷を見てみたいと思わせるものばかりです。

〜広大な庭の奥にはバラ園が〜
  続いて鈴木さんのお庭。その広さにまずびっくりです。ちょうど月下美人が夜に咲いたばかりとのことでしたが、その花が食べられるそうで、高級食材とのこと。知りませんでした。庭を奥まで進んでいくと、剪定されてこの季節には花こそほとんどないものの、バラの株がたくさん。春はきっと素晴らしい景色が広がっていることでしょう。季節を変えてまたお伺いしたい庭との出会いでした。


〜花いっぱいのウェルカムガーデン〜
 さらにご近所の昨年お引っ越しされたという横山さんのお庭に移動。転居からそれほど時間は経っていないにもかかわらず、玄関先から花でいっぱい。庭造りへの情熱を感じさせます。花壇には一つひとつ品種名が書かれた札が立っており、「花で人をお迎えする」という気持ちにあふれているように感じました。手をかけている分、どの植物も生き生きと育つのでしょう。大きなヤマボウシに赤い実がたわわに実っていたのはその現れだと思います。庭主さんから全員に葉ボタンのプレゼントもいただきました。どうもありがとうございます。


〜いつ来ても新しい発見のある庭〜

  お昼を兼ねてガーデンカフェ花遊庭さんに向かいました。いつもたくさんの花で来訪者の目を楽しませるお庭ですが、満開に咲いたヘブンリーブルーに招かれるようにパーゴラを抜けると、木々の緑とクレオメ、シュウカイドウ、インパチェンスなどによって淡いピンクに包まれる中、ダリアが強い存在感を示していました。写真はルコウソウの中から愛らしい顔をのぞかせていたリスのオーナメント。秋の風情が強くなってきた庭を見ながら、収穫の秋に想いを寄せていそうです。



〜車窓からも目を引く異空間〜

  次に訪れた葉多野さんのお庭はまるで植物園のよう。沖縄暮らしが長く、引っ越しの際に持ってきた植物が多いため、こちらではあまり見かけない草花が多いのも特徴の一つです。琉球ガラスを各所に使ったエクステリアも素敵。その中に所狭しとさまざまな草花が顔をのぞかせています。線路沿いで駅に近いため、車窓から見かけた人が気になって訪ねてくることもしばしばあるとのこと。遠目にも確かに目立ちます。今回、植物だけではなく、来訪者のハートをがっちりつかんでいたのが庭でお昼寝していた陸ガメの「うみちゃん」。呼ぶと近寄って来る姿がとても愛らしくてたまりませんでした。

〜雑木と宿根草によるナチュラル感〜
  次の小松さんのお庭では、トウカエデやヤマモミジ、富士ブナなどの落葉樹が天に葉を伸ばす中、さまざまな宿根草が次々と花を咲かせる様子を拝見することができました。ヤマモミジはやや紅葉が始まっていましたが、トウカエデも秋深くにはすっかり色づくとのこと。季節感を強く感じる植栽です。庭主さんは「とにかく手間をかけないよう、自然に」とお話ししておりましたが、その土地に合った植物は本当に良く育つものだなとあらためて思いました。庭先には、自然に育ったスミレが大地に根を張っており、庭全体に力強さのようなものを感じます。奥にはミモザも見えていました。庭を黄色に染めた後にはスミレが可憐な花を咲かしていることでしょう、春の姿もぜひ見てみたいお庭です。

〜いっぱいのハーブと圧巻の石組み〜
  続いてモンペールさんに移動です。こちらのお庭は春に道行く車が思わず足を止めるほどミモザで有名。今はまだミモザは蕾の季節ですが、階段を上った先のガーデンにはたくさんのハーブたちが葉を広げ、来訪者の五感をくすぐります。ハーブガーデンも見事なのですが、外回りのロックガーデンも実に素晴らしい。巨岩が織りなす重厚感と、そこに根を張る植物の力強さに圧倒されつつ、繊細な花や実を付けている姿にほっとさせられます。春に上を見上げれば、岩と天の間にはミモザが黄金色に輝いていることでしょう。

〜多彩な表情を楽しめる庭〜
  ツアー最後のお庭はちょっと北に離れたところにある鈴木さんのお庭。高速に乗って移動です。こちらの周辺は桜並木で有名なところ。春には満開の桜のトンネルをひと目見ようと、大勢の人が訪れます。桜見物と共にお伺いできるといいですね。あいにく今回庭主さんは海外渡航中とのことでしたが、門から庭の奥に進むに従い、植栽の変化が楽しめるお庭でした。と、敷地内に入って右のシュロを見ると、表皮をめくってコンテナにしているではありませんか。[写真]これは目から鱗モノのギミックです。庭の奥には池があり、そのほとりに置かれた流木の上には、すっかり辺りと同化した熊の木彫り人形が。さまざまな庭の住人が心地よいハーモニーを奏でています。



  それぞれのお庭では、見学開始と同時に庭主さんに質問が寄せられる中、15分という時間は本当にあっという間でした。そうやって移動と見学を繰り返しましたが、見学時間が短いことが、逆に参加した皆さんの集中力を高めていたようにも思えます。気になる草花を写真に収める方、熱心に庭主さんに質問する方、メモを取ってご自分の庭の参考にする方。ゲストもホストも情熱の方向が皆一緒ですので、その熱気はものすごいものがありました。もちろんまだ見たい、もっと聞きたいとの気持ちも多く、「ぜひまた来ます」と、個別訪問の活性化にもなっていたようです。
  やや時間が押し気味にはなったものの、明るいうちに全ての庭をコンプリート。無事に全行程を終えることができました。ご参加の皆さん、そして庭を公開していただいた庭主の皆さん、どうもありがとうございました。

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